mirage of story











ドンッ。ドオォンッ。

意識を世界の現実に向き直せば、決して遠くはない所で世界が壊されていく音。


話をしている間にも、刻々と終わりは近付いていた。



















「............あれ?」






ライルとジスの会話に、ひとまずのピリオドが打たれる。

さぁ、今からはこれからどうすべきかを生き残り集った者達の全てを結集し考えなければ。



そう仕切り直しの言葉を誰かが口走ろうとした矢先、集まる人の群の一点から疑問の声。
ライルとジスに向けられていた視線が、今度は一斉にその声に向く。











「シエラ、どうした?」



声を上げたその人へ、シエラへ集まる視線。
ライルもその視線に合わせて、彼女を見つめ尋ねる。



見つめられるシエラは済んだ水色の瞳を見開いて、酷く動揺した様子で辺りを何度も何度も見回す。


―――ッ。ッ。

見回す動作にオレンジがかった茶色の長い髪が舞い彼女の頬を叩くが、彼女は気に止めない。





見回す彼女の瞳に映るのは四方八方の人の群。

その全部が自分に視線を向けていることを知ってか知らでか、何度も何度も見回す。
まるで何かを、その人の群から必死に捜すように彼女は―――シエラは見る。





















「............居ないの」


「え?」





何度も何度も見回して、見ている方が目を回すくらい何度も何度も見回して、シエラは呟くように言う。



居ないの。居ない。
その言葉から分かるのはやはり彼女は何かを......誰かをこの人の群の中から捜そうとしていたということ。

だがライルはその何かが、誰かがいまいち分からずに咄嗟に疑問の声を返す。







「居ないって、一体誰が?」



疑問、それに続けてライルが今度は分かりやすく聞き返した。








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