mirage of story
――――――ッ。
何も無い世界が、光に溢れた。
綺麗な真っ白な光。
目映さに目が眩み、意識がカイムという器から引き剥がされるのを感じた。
.........あぁ、自分は生まれ変わるのだ。
漠然と思った。
あの世界に、彼女の居る世界に行ける。
またあの世界で生きることが出来る。
俺は、もうカイムでなくても構わない。
出来ることならば、次に受けた命でまた彼女に出逢いたい。
生きるその場所が彼女の傍で在りたい。
........ただ、貴方にもう一度会いたいんだよ―――シエラ。
意識が完全に引き剥がさるまで、幾らか時が在ったかは判らない。
だけれど俺はその時を、ただひたすらそう願った。
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