mirage of story
「母さん。一体ここはどこなの?
―――村のみんなもここに居るの?無事なんだよね?」
シエラは、自分の望んでいる答えを求めるようにエルザに問い掛けた。
その言葉に、エルザは哀しく微笑む。
「――――ここはあなたの心の中」
「心の....中?」
エルザは小さく頷いた。
「...........村のみんなも、ここに居るわ」
エルザが何故かそう哀しげに言うと、後ろを振り向き静かに指を差した。
その先に、シエラにとって見覚えのある
馴染みのある村の人たちが現れ、こちらを見ているのが見えた。
「みんな....無事だったんだねっ」
シエラは思わず、叫んだ。
シエラの顔には安心からか、笑みがこぼれる。
あぁ、よかった。
心から、そんな気持ちは沸々と湧き上がる。
「......」
みんながあの、炎に包まれた村から無事に逃げ出した。
あぁ、みんな生きていたのか。
そう思い喜ぶシエラを前にエルザは顔を歪めた。
そしてしばらくそのシエラの笑顔を見た後、決意したかのように重い口を開く。
「――――そうではないのよ。シエラ」
「....え?」
(――――そうではないって....みんな逃げれたんじゃないの?
だって実際みんなここに)
「.....っ!?」
シエラは目を見開き、再びエルザの指差す先を見た。