mirage of story
.....自分の目を疑いたかった。
――――今までそこに居たはずの村のみんなが、一瞬でうすい光となり
消えたのだから。
(どうして......何が起こったの!?)
シエラには、今目の前で何が起こったのか....理解出来ないでいた。
「――――シエラ、よく聞きなさい。
村に居た人たちは....みんな魔族に殺されてしまったのよ。あのロアルに。
この村で生き残ったのは、シエラ、あなた一人だけなのよ―――.....」
シエラは言葉を失った。
みんな殺された.....生き残ったのは自分だけ。
その言葉が、頭の中で重く何回も....何回も響いていた。
(―――うそだ....そんなの)
そんなこと....あるわけない。
今日な朝まで、村のみんなはいつも通り平和に満ち溢れた生活を送っていたんだ。
その人たちが、もう一人も居ないだなんて。
うそであって欲しかった。
「何言ってるの、母さん?
.....そんなことあるわけないよ。変な冗談やめてよ!!」
シエラは無理矢理に笑顔を作って言った。
きっと嘘だ。
そんなこと....あるわけない。
―――信じたくない。
(―――でも、村の中には誰も村の人は居なかった。
居たのは私と.....あいつら、魔族だけだった―――)