mirage of story
出来損ないだと皆から馬鹿にされ、よく一人で泣いていたことを。
ライルが、魔力がないのは自分のせいだと感じていつも辛い思いを抱えているということも。その悲しみも。
王は、痛いほど知っているはずだった。
「―――あぁ。私は知っている。
....お前がそのことで辛い思いをしていることも一人で、辛さと闘い泣いていることも。私は、知っているよ」
「......だったら、何で俺に力があるなんて―――分かりきった嘘を」
ライルの瞳から、堪えてあた涙があふれだした。
その涙は、今までの辛さ....悔しさがつまった涙だった。
「――――いいかい、ライル。
私は、お前を苦しめるために言っているわけではない。
嘘を言っているわけでもないんだ」
「.......」
「ライル。
......私には分かる。
お前にはちゃんと力がある。強さがある。
ただその力が、今はきっかけがなくて未だ隠れているままなのだよ?」
王は穏やかな口調で言った。
「魔力は、強い心を持つ者に宿る力だ。
......お前は、こんなに強い心を持っているだろう?」
王の強い瞳が、ライルを見据えた。
「自信を持ちなさい。
きっとお前には、誰にも負けないくらいの強い力があるからね」