mirage of story
 
 
 
 
 
 
今まで言葉に出したことはなかったが、この想いはずっと前から抱いていた。


自分の全てを捨ててでも、守りたいと思う人。
ライルにとって、それは一生をかけても ただ一人。
ルシアスだけだ。






『――――フッ。
なかなか気に入ったぞ。

そんなに強い意志の籠もった瞳を持つ者が―――まだ、居たとはな。
.....奴がお前に指輪を託した理由がようやく解ったわ』



「.......奴って?」





ライルは、炎竜の含みのある言葉。
その言葉に籠められた意味が気になり思わず訊ねた。 







『――――お前に、我を.....指輪を授けた奴だ。

どこぞの国の王をやってる―――間抜けな、我の前の契約者だ』



炎竜は、笑いを含んだような声でそう言った。






「.....え。
ってことは、王様が....前の契約者?

―――でも、じゃあ何で俺なんかに指輪を?
契約者を何で辞めちゃったんだ?」





もし、本当に王が指輪の前の契約者だったとしよう。

だったら何故、指輪をライルへと渡したのだろうか?
どうして俺なのだろうか。





 
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