mirage of story
 
 
 
 
 
 
竜刻の指輪には、強大な魔力が宿っていると聞いたことがある。

実際、指輪を身に付けた瞬間に今まで感じたことのないような、とてつもない魔力を感じた。 




そんな指輪をルシアスと親しい仲ではあるが、元はただの庶民であるライルへと渡す理由などライルには、想像することが出来なかった。 






『――――不思議そうな顔をしているな。

......何故、奴がお前に指輪を渡したか?それが分からんようだな』





ライルは頷く。





『........奴が、言ったのだ、我に。
"自分の意志を継がせたい者が居る。その者は自分より遥かに強い力を心を持っている"とな』





(......王様が、そんなことを)






『―――我は、最初その言葉を聞き入れなかった。

反対だったのだ。
しかも、指輪を継がせたい者が......お前のような子供だと言われれば、尚更だ。賛成する理由もない』



そう言うと、炎竜は薄く笑った。






『だが、奴が.....あまりにもしつこくてな。
我ながら、甘いことだ。

結局.....我は、その意志を継がせたい者―――つまりお前に直接会い、我も認める程の者なら奴の話を聞き入れると、決めたのだ』




 
< 190 / 1,238 >

この作品をシェア

pagetop