mirage of story
『そして、今.....この時に至るのだ』
炎竜は言った。
炎竜がライルを見据え、ライルが炎竜を見て二人の視線が合う。
『―――奴があそこまで、我に食い下がってきた理由......それが、お前と会って分かった気がする。
奴が言っていた通り。お前から、とてつもない力を感じるのだ』
「......俺には本当に力があるのか?
この俺に?」
『ある.....必ずな。
ただ、お前の力はまだ眠っている状態なのだ。
その力が目覚めれば、もう何も――――恐れることなどないのだ。ライル』
炎竜はそう言うと、笑いを含んだ瞳をライルに向けた。
『――――お前に、一度だけ聞こう。
.......その強い想いを実現させるため、今の自分から変わるため。
ライルよ、我の契約者とならぬか?』
『―――――我と共に、行かぬか?』
炎竜の言葉が、身体の中に響いた。
ライルは何も言わずに頷く。
言葉などなくても、ただそれだけで全て自分の想いが伝わる。
そう思ったから。