mirage of story
 
 
 
 
 
 
『―――そうか。
では、決まりだな。

......今日からお前は、我と二人で一つ。
我はお前の半身であり、お前は我の半身だ。

我々を繋ぐのは、その指輪。
その指輪こそ、我との契約の証だ』




炎竜は、ライルの指に納まった指輪を見た。

そして、ライルも自らの指に輝くその指輪を見た。







『―――我の力は強大だ。
....故に、この指輪が他の者に渡るようなことになれば世界は、混沌に堕ちるだろう。

ライルよ。
そうならぬためにも、他の者に自分が指輪の契約者だということを誰にも告げてはならぬ。
告げれば―――お前も.....お前の守りたい者も失うことになる。

それを.....決して忘れるな』





「誰にもって.....お城の人たちや、ルシアスにも言ってはいけないってこと?」



『そうだ。
たとえ相手が守りたい者であっても言ってはならない。

城の者など、特にだ。
まぁ、お前が言わずともいずれ、時が来れば.....皆が知る日が来るだろう。

その日まで.....自分の中にだけ留めておくのだ』 



誰かに指輪が渡れば、世界が混沌に堕ちる。
大切な者を失うことがある。

 






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