mirage of story
〜6〜






ッ。
奥に案内された二人。
歩く先で広がる空間。

そんな空間を静かに歩いて、まず一人の男の前へと通される。 




老人。
そう言っても差し支えはないくらいの歳の男性。

長めの髪の毛や顎の下に伸びる髭は、全て白く染まっている。
そして優しくも強い光を放つ瞳。
その姿からは威厳のようなものが感じられた。










「........。
旅の方々。
ようこそこのランディスの街へ来て下さいました。
何もしては差し上げれないが、体をお休め下さい」




老人はゆっくりとした口調で穏やかな表情を浮かべて、目の前へとやってきた客人であるカイムとシエラへ一礼をする。









「あの.....ネビアさん。
この人は?」



シエラはネビアに尋ねる。




「この人はね、このランディスの街の長なのよ」


「長?」




「えぇ。
シエラちゃんたちが気になっていることは、この人が話してくれるわ。
.......この街に起こった全てのことをね」





ネビアの言葉に、シエラは老人の方に向き直る。
言われてみれば、納得出来る。
この老人から、滲み出る威厳のようなものは、人の上に立つ者に相応なものだとシエラは思った。









「───。
あの、早速お聞きしていいですか?

あの街の状況とてもじゃないけれど普通とは言えない.......教えて下さい。
一体この街に何があったんでしょうか?」




振り返り口を開こうとしたシエラ。

だがその前にカイムの口からシエラが言おうとしていた言葉が出る。






 
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