mirage of story
 
 
 
 
 
 
 
「........お客人様、長い話になるでしょう。
立ち話をするのも何です。さぁ、こちらへ」 




そう言うと老人は、二人に背を向ける。






「........どこ行くんだろう?」


「.....この先に部屋でもあるのかな?」




二人は、そう言いつつ後をついて行く。
だけど、部屋らしいものは見当たらない。







「─────さぁ、こちらです」



そう老人は立ち止まった場所は、壁の前。
そびえ立つ壁以外には、何にもない。

シエラとカイムは、不思議そうに顔を見合わせる。






「あの......こちらへって言われても」




そんな困った視線を目の前の相手に向ける。





「.......おや?
旅の方々は、聖術を知らないのかね?」



「聖術?」




知らない言葉だ。

ライルたち魔族が使う“魔術”と、シエラがエルザから教えてもらった“神術”という不思議な術。



それだけでもまだ知らないことだらけなのに、また新しい未知の言葉が出てきた。







「────聖術は、我ら人間が魔族等が持つ魔術に対抗する力。 

人間だけにしか扱えない力なのですよ。
まぁ、今になっては使える術者が数える程に少なくなってしまったんだがね」 





 
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