mirage of story
「......さて、何からお話致しましょうかな?
旅の方々。
何かお先に聞きたいことがあったらお尋ねください。
私の分かる範囲であれば、お答えいたします」
シエラとカイム、そしてこの街の長だという老人が向かい合うように座る。
そして落ち着いたように、口を開く老人に、二人は顔を見合わせた。
二人見合せ、目で何かを確認し合う。
カイムもシエラも、まず最初に聞きたいことは一緒だったようで、二人は小さく頷いて老人の元に向き直った。
「─────じゃあ、まずこの街に何が起こったのかを。
どうして街があんな状態なのか。
それが、知りたいです」
口を開いたのはシエラ。
聞きたいことは色々とあったがやはり最初に聞きたいのは、あまりに変わりすぎていた街の様子のことだった。
老人もその質問が来ることが分かっていたのだろう。
シエラのその言葉に、無言で頷いてみせる。
「私、一年くらい前に此処に来たことがあるんです。
その時に見たランディスの街はこんな風じゃ、なかったはずです」
シエラは、声を少し荒げて言うとそこで一瞬言葉を切り、少しだけ俯いた。
シエラの脳裏に、一年前とは似ても似つかない廃墟の街が広がる。
それと同じに、シエラ閑としたその街の様子が並列するように過る。
「.......一年も経たないうちに、こんな変わるだなんて普通じゃない。
何かが起こったんじゃないんですか?」
シエラは、一瞬俯かせた視線をまた前へと戻した。