mirage of story
 
 
 
 
 
 
 
 
────グラリ....ッ。




再び襲ってきた地を突き上げる揺れ。

その唐突な揺れに、シエラの声が途切れる。






外で何が起こっているかは、分からない。

でも何かが.....悪い何かが
もうすぐそこまで近付いているということは分かった。




邪悪で、悪寒が走る程の.....ただひたすらに悪い何かが。







軋むような音が部屋の中に響く。

壁に入っていた亀裂が、それに伴い大きくなる。






...........もう、駄目かもしれない。


シエラの頭に一瞬、そんな感情が過った。





その思いを無理矢理に奥に追いやり、ネビアの元を見る。

さっきまで意識があったネビアだったが、今の激しい揺れのショックで
意識を失ったようで、彼女の瞳は閉じていた。







『逃げなさい』

そう言ったネビアの悲しげな表情が蘇る。




逃げる。


こんな状況になったのは自分のせいだと、自責の念を抱えながら死のうとするネビアを
自分にこんなに優しくしてくれた恩人を、見捨てて逃げる。






「.......」




確かに、今ここから逃げればシエラの身は助かるかもしれない。

でも。





(........でもそんなこと、人がすることじゃない)






 
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