mirage of story
 
 
 
 
 
 
 
 
人は儚い。

けれど人は、だからこそ助け合い必死に生きて行く。


それが、人の真の生き方だとシエラは思う。






だから......だからシエラはどうしてもネビアのことも、この状況も

諦めたくはなかった。







(でも、私に何が出来るの?)




でも、自分に出来ることがどうしても頭の中に浮かんでこない。





......無情にも、最期の時だけが近付く。



────ピキッ。


嫌な音がした。

....と思うと同時に、今まで廃墟を支えて保ち続けてきた壁が
ついに耐えきれなくなり崩れた。

いや、砕け散った。








「........何....これ」




シエラは、この時やっと
この街の本当の現状を把握した。


さっきから轟音と共に蝕んでいたのは、この目の前にある威容な黒い風。

この街は......今、シエラの前にあるこの黒い風の渦によって、消されようとしているんだと。
そう認識した。





だんだんと距離を縮める黒い風は、容赦なくシエラへと吹き付ける。

巻き上げた街の欠片が、風と共に渦を巻く。







(.......もう何をやっても、間に合わない)




目の当たりにした、猶予のない危機。

何ともとれない諦めの意が込み上げる。




シエラはそう感じて、悔しさのあまりに持っていた自分の剣を
地面へと、突き刺す。







 
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