mirage of story
─────.....ッ。
何だろう?
周りから迫り来る風の音が、街が崩れ行く轟音が
突如、まるで嘘のように一瞬のうちに消え去った。
「........一体、何が」
唖然として、頭が真っ白になる。
だがシエラは、何が起こったのか確認しなければと
真っ白になった頭を、現実に引き戻した。
そしてそっと、後ろを振り返る。
────ッ。
広がる光景に、シエラは自らの目を疑った。
風が......黒い風が、死の匂いを漂わせる風が
シエラの居る場所から、ほんの5メートルくらいの所で─────止まっていた。
風だけじゃない。
崩れる廃墟の壁の欠片も、巻き上げられた砂埃りも宙に浮いたまま。
この空間の生きているモノ以外の全てが止まっていた。
「─────何が起こったの?」
この状況を前に、何が起こったのか分からずに居た。
今、この空間に居るのは自分と......意識がなくなりぐったりしているネビアだけ。
シエラの呼吸の音だけが止まった空間の中で、いやに大きく響き渡る。
.........辺りは、違和感を覚えるほど静かだった。