mirage of story
 
 
 
 
 
 
 
危機迫る状況の中、カイムは決意し走り出した。



向かうのは、死の危機迫る仲間の元。


見捨てるという選択肢など、カイムの中には存在するはずもなく
自らの命の危険も顧みずに、仲間の元へ走った。





自分が何も出来ないまま、大切なものを守れないのは嫌だ。

だから必死に......必死に走った。手遅れにならないために。






崩れる廃墟の残骸。亀裂の入った壁。


...........カイムが向かったその先は、もう崩壊する寸前だった。

崩れたらその残骸が降り注ぎ、人の身体など一溜まりもない。





(居ない....何処に居るんだよッ!)




カイムは、辺りを見回す。

前を見て、右を見て、左を見て.....そして後ろを見る。






シエラの姿はない。

だがその代わりに後ろを、向くと同時にカイムの視界に迫り来るものがあった。







(─────ッ!)




........揺れに耐えきれなくなった廃墟の天井が
そして大きく亀裂の入った壁が

轟音と共に崩れ、カイムへと迫っていた。



このままでは、カイムの身体は確実に押し潰されてしまう。

そうなれば、命はない。






だが、気が付いた時にはもう遅かった。



もう、避けられない。

カイムはそう思った。






 
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