mirage of story
避けられない。
そう考えたカイムは、迫り来る廃墟の残骸に立ち向かうために剣を素早く構える。
巨大な残骸と、カイムの剣。
勝敗は......明らかだった。
もうすぐ目の前まで、迫る。
カイムは剣と残骸が触れる寸前......もうすぐ来るはずであろう強い衝撃に備えて、目を固く閉じた。
(────ッ....)
だが、来るはずの衝撃が来ない。
それどころか、さっきから鳴り渡っていた轟音も一瞬のうちに消えてしまった。
辺りがさっきとは一変、静まり返る。
(.........何が起こったんだ?)
カイムは今、自分が置かれている状況を把握するため、閉じられた瞳を恐る恐る開ける。
開けるのは、正直怖かった。
目を開けて、前に広がるはずの光景は.....どう考えてもよいものではなかったから。
(........一体どうなっているんだ?)
そして今の状況に至る。
カイムは、自分の目に入ってきた光景を
......しばらく理解することが出来なかった。