mirage of story
〜14〜







「大丈夫か....シエラ?」 




「......カイム。
私は大丈夫。大丈夫だよ」




シエラは涙を拭いながら、薄く笑う。

怖かったのか、それとも嬉しさからか、微かにカイムの握る彼女の手は震えている。



フッと浮かんだその笑み。
でもそれは、すぐに涙によって掻き消されてしまった。







「────でも、もう駄目かと思ったよ。

何が起こったのか分かんないし。
.....ネビアさんも、私の力じゃ助けられなくて」




手の震えは声にも伝わって、シエラはその震えを抑えようと声を絞り出すように話す。




彼女の瞳から落ち続ける涙の雫石が、握るカイムの手を湿らせた。

その涙は、カイムの手の上で淡く輝いた。






「─────大丈夫、俺が来たから。
俺が助けに来たから」




シエラの姿に、カイムは彼女を落ち着かせようと背中を擦る。






「だからもう泣かなくていい。

泣いてるシエラより、笑っているシエラの方が....俺はいい。
だから、泣くな」





カイムはそう言うと、空いている片方の手をそっとシエラの頭の上へと置いた。
そしてそのまま泣く子供をあやすように、二三回頭を小突くように撫でる。







「────何か私.....子供みたいね」




シエラはカイムのそんな行動に、涙に濡れた頬を紅く染めた。

そして、恥ずかしさからカイムの元から少し離れる。





「あ....ごめん。
子供でもないのに────こういうの嫌だよな」




 



 
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