mirage of story
 
 
 
 


 
 
 
 
自分からパッと離れたシエラを見て何かまずいことでもしたのかと、そんな心配をしてカイムはシエラに言う。

シエラの仄かに紅く染まる頬と、速くなってゆくシエラの胸の鼓動に鈍感カイムは、全く気付かない。












「嫌なわけじゃないけど───って、私ったら何言ってるのよ......。

そ、それより!
大変なの!ネビアさんが!」




「...............ネビアさんが、どうかしたのか?
ここに残ってるのって、シエラだけじゃないのか!?」





カイムは、この廃墟の中に取り残されてるのはシエラだけだと思っていた。

だからネビアがどうしたと言われても、いまいち何のことかは把握出来ないようで、驚いたように顔を歪ませる。











「...........私が逃げてる時に、動けなくなってるネビアさんを見つけたの。

ぐったりしてて、周りの人達に助けを求めても逃げるのに精一杯で。
私で何とかしようとしたんだけど」




シエラが表情を陰して、静かに後ろを振り返る。














「─────これは」









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