mirage of story
 
 
 
 
 
 


だが、シエラの口から言葉が零れる前に彼女の耳に届いてしまったのは.....寝息。

――――。
しかも物凄く気持ち良さそうな、スヤスヤという寝息。




しかもしかも、その寝息の主がジェイドに何かされ倒れたはずのカイムとなれば出かけた抗議の言葉は跡形も無く引き下がる。



え、もしかして寝てるだけ?

いやいや....そんな安いお笑いのような展開があっていいものかと疑うが、やはり聞こえる彼の寝息。








「え、嘘―――」



思わず零れる呟きと同時に、冷汗が流れる。


ッ。
頭に浮かんだのは、ジェイドの襟首を掴んで思いっきりの疑惑の目で睨み付けている自分の姿。

自分で言うのもなんだけど、凄く男前な数分前の自分。








(.........)



シエラは、ジェイドの方を恐る恐る向く。
そして思いっきり濡れ衣を被せてしまったシエラは、自分に放たれるはずのジェイドの怒りの言葉を待つ。










「─────ハハッ、寝てるだけみてぇだな」




だが送られる彼女の視線に気付いてない様子で彼は笑うだけ。




ッ。
そして暫くしてから視線に気が付き二人の視線は重なる。

次に飛んでくるのは、濡れ衣を被させられたジェイドの怒りの言葉。
そう心の中で確信して覚悟を決めた。




 

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