mirage of story



 
 
 
 

........。
実に素敵な自己紹介にシエラは何とも言えない微笑で返す。

まさか真面目に自己紹介したつもりなのかと思ったが、顔には変わらずの軽い笑みでやっぱりふざけているのだと思った。
これも彼のユーモアだろうか。

......もしかしたら自分も同じような感じで返さなければならないのか。
いいや、無理だ。
彼女は心の中で首を左右に激しく振る。
周りからどう思われているかは知らないが、彼女は結構人見知りなのである。





―――。
さて、微笑するばかりでも居られない。
次は必然的に彼女の番である。

彼女は息を一つ飲み込み、そして口を開く。



ッ。
だがそんな矢先、さっきの言葉に付け足すようにサラリと放たれたジェイドの言葉。













「あ、そうだ!
すまない、もう一つ言うのを忘れてた。
ちなみに俺、魔族だから」




魔族。
......魔族?
予想外に発せられた言葉に一瞬思考が止まる。


魔族。
それはシエラにとって、一番に憎むべき存在。
倒すべき存在。
シエラにとっての最大の悪。

そう認識するまでの数秒、部屋の中は沈黙した。











「っ!」



ザッ!
頭の中で理解すると同時に、シエラの身体はジェイドから飛び退く。

明らかなる警戒心を彼女は全面に押し出す。







「おいおい随分とあからさまな反応だなぁ、嬢ちゃん。
心配しなくていい。
俺はもう─────」



そのシエラの様子を前にしてジェイドは薄く溜め息をつく。
何か言葉を続けようと自分から遠ざかった彼女に手を伸ばす。









「近寄るな!」



自分へと伸ばされるその手に、シエラは凄い剣幕で叫ぶ。






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