mirage of story
 
 
 



 
 
睨み付ける眼光が非常に怖い訳であるのだが、彼の顔に張り付く笑みはやはり消えない。






「あぁ、分かった分かった!
近寄んねぇから嬢ちゃんよ?睨むのは止めてくれって。
可愛い顔が台無しだぜ?」



そう言いわざとらしい仕草と共に彼は伸ばした手を引っ込める。


―――。
だが睨むのを止めない彼女。
それどころか時を刻む度に警戒の意が強まる。











「やれやれ.....嬢ちゃんもアイツと同じ反応をするわけね。
いいかい、嬢ちゃん?
そのままでいいから、ちゃんと俺の話を聞いてくれないかい?」




笑う表情に少しだけ疲れた表情が重なる。
一つ小さく息をついた。

―――。
そしてやれやれという言葉と仕草を零して、何処慣れたように警戒を強める彼女に自分の意を説明するため口を開く。










「いいかい?
俺は確かに魔族だが、嬢ちゃんが目の敵にしてるようなのとは違う。
それは断言しようじゃないか?

うーん......この意味分かってくれるかい、嬢ちゃん?」





この説明をするのは、今日でもう二回目だった。

というのも今こうしてシエラに説明する前に、彼女と同じような反応をしたカイムに全く同じように説明したからである。



魔族とか人間とか、今のこの世界ではその括りに対しての偏見が激しすぎる。
正直、面倒だった。

ジェイドという男は自分が魔族であるか人間であるかなど意味も無ければ興味も無い。
元々そうであったかと問われれば否であるが、今ではもうそのような括りなど面倒で仕方が無かった。




――――。
だが、世間は違う。
今の世の中は例え今まで信頼し合って居た仲でも相手が自分とは違うと―――相手が人間であるか魔族であるかの世に蔓延る敵仲間の明暗がはっきりした瞬間、今までの信頼は跡形もなく崩れ去る。





 

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