mirage of story
 




 
 
 
人間か魔族か。
そんなもの実に曖昧な境。

元を辿ればどちらも同じ種族であったはず。
それなのに今ではただそれだけの違いが理由で敵になる。
憎み殺し合う。
今は、そんな世界。





だから自分にとって無意味であっても、普通の世の中を生きている彼等にには自分が敵でないことを証明しなければならない。
例え深く関わり合う気は無い、ただ一時の擦れ違いの相手であっても。

それを分かっているからこそ、彼は彼女と向き合う。













「魔族なんて皆同じ!
残酷で血も涙もない悪に決まっているわ!
貴方が魔族であるなら、貴方も同じよ!」



シエラは叫ぶ。

血も涙もない。悪。
彼女の中ではそれが魔族のイメージ。
そのイメージは根深く彼女に絡み付く。



.....。
だがそう思うと同時に過るものがあった。
それは彼女の抱く魔族のイメージとは全く逆の魔族の姿。


――――。ッ。
炎に囲まれた村の中。
自分に剣を突き付けながら自分の中の哀しみと戦うライルの姿。

.....あの時のライルは似ていた。
復讐のために、外の世界にたった一人で身を投じた自分の姿に。
大切な人を失った哀しみから、抜け出せず藻掻き苦しむそんな姿が凄く似ていた。



血も涙もある、同じ生きる者だからこそそんな苦しみだって分かる。
あの時だけは魔族に人の影を見たのである。











(魔族は敵。残酷な悪。
それなのに―――どうしてこんなに胸が傷むの?)




自分が叫んだ言葉と頭に浮かぶ違った気持ち。
何だか凄く違和感があった。






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