mirage of story
呟きの直後、沈黙していた彼女に何か言いましたか?と問われたけれど彼は笑ったままで首を横に振った。
思い過ごしだったか。
笑って首を横に振る彼にシエラも納得して意識を元の話へと戻す。
「.........まぁそりゃぁ、嬢ちゃんが奴等を恨むってのも当然だな。
それで嬢ちゃんは奴等から仇を取りたい、そういう訳だね?」
「はい。
母さんの仇。村の皆の仇。そして人間全ての仇です。
仇討ちなんて綺麗なことじゃないっていうのは判ってるんです。
......でも私は、取らなきゃいけない」
人間全ての仇。
それは少しだけ言い過ぎかもしれないけれど、それ程に許せなかった。
エルザの哀しみ。
死んでいった村の人の痛み、殺された人間の憎しみ。
個人的な感情も多くあるけれど、彼女は本気で世界のため人間のためも思っていた。
彼女には、自分がやらねばという使命感すら芽生えていた。
「全ての人間の仇ねぇ。そりゃまた大層なことだ!
......でも俺には理解出来ねぇな。
見ず知らずの他人の恨みまで背負って、わざわざ自分の命を危険に晒すっていう嬢ちゃんの考えは。
憎しみとか色んなものに耐え続けて、それなりに平和に過ごす方が俺には利口な生き方だと思うがね」
ジェイドは言う。
「私はいつだって平和を望んでいます.......でももう駄目なんですよ、何もしないままで望むだけじゃ。
――――それに」
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