mirage of story
「?」
「......それに私、知らなきゃならないんです。
私と魔族―――彼等との間にどんな関係があるのかを」
シエラの口から出た言葉は、静かな部屋の中にやけに重々しく響いた。
「どんな関係って―――母親の仇っていうだけじゃないのかい?
その二人との、魔族との関係ってのは」
「.............。
本当に僅かな可能性です。万が一在るか無いかのそんな可能性です。
私の存在は、もしかしたら目には見えないところで深く深く彼等と―――魔族と繋がっているかもしれない.....私はもしかしたら」
そう言い掛ける。
――――。
シエラは自分の胸元に掛かる指輪を服の上からギュッと握り締めた。
「........いえ、何でもありません。
でも知らなきゃならない。
そうでなければ私の存在はずっと曖昧であやふやなまま――――――そんなの、この指輪に賭けても絶対に嫌」
グッ。
力を込めるとそこにある小さな指輪の感覚。
「指輪?」
「私が記憶を失う前から持っている唯一の本当の私を証明するもの。
私は記憶を失い目覚めた時にこの指輪だけを除いて、私の存在を証明する全てを失っていました。
─────これが、その指輪です」
服の下に隠れていて、彼には指輪は見えていなかった。
そもそもロアルやライルとの一件以来、不用意に他人に見られぬようにいつもこうして服の下に隠していた。
本当はジェイドにも見せる気は無かったが、彼女はいつの間にか彼を信用していたらしい。
一瞬だけ躊躇ったけれど、彼ならば大丈夫だと告げる本能を信じることにした。
――――。
取り出された小さな指輪は煌めく。
何の変哲も無い、だが何処か異質なその指輪。
彼女によって表に出された瞬間に、この部屋の空間全てがその煌めきに注目した気がした。
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