mirage of story
その淡く輝きを放つ小さな指輪は、勿論ジェイドをも惹き付ける。
ッ!
彼の紅の瞳に指輪の淡い煌めきが映し出されたその瞬間、彼のその瞳は大きく見開かれる。
.......まるで見てはいけない物を見てしまったかのよう。
彼の紅の瞳の中で揺れる動揺がそれを忠実に語る。
「嬢ちゃんっ!ちょっと見せてくれないかい?」
「え....は、はいっ!」
会って間も無いからという理由もあるが、彼の素の表情をシエラは初めて見た気がした。
相当に驚くその理由がこの指輪にはあるということなのか。
やはり、この指輪は―――ただの指輪でないのだろうか。
彼なら、ジェイドならきっと何かこの指輪についてを知っている。
指輪のことが判れば、本当の自分を知るための足掛かりとなる。
彼女は指輪を見ての彼の反応にそんな期待を抱き、彼へと指輪を見せる。
「これは」
暫く指輪を探るような視線で見詰めて、それから息を飲む。
――――。
彼の中で抱いた何かの疑問をそして疑いを、じっくり確かめるように彼は指輪を見つめ続ける。
........。
その間の沈黙の時。
シエラは彼の言葉を待つ。
「.........まさか嬢ちゃんが――――」
沈黙を経て待ったジェイドの言葉。
まさか。
そう独り事のように呟く彼はその呟きが声に出ていることに気が付いていないようだった。
――――。
その無意識の呟きは一言では終わらない。
彼は声に出ていることに気が付かないままに、更に呟きを重ねていく。
「─────いや、でも何で嬢ちゃんみたいな子がこれを......」
ジェイドは完全に自分の世界に入っていた。
その呟きに何か自分の求める手掛かりがあるかと耳を傾けるが、彼が呟くのは彼女にとっては意味の分からないことばかり。
.......。
シエラはどうしたらいいか分からず途方に暮れる。
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