mirage of story
「あ....あの!」
独り取り残され反応に困った彼女は暫く耐えて、それから耐えきれなくなって自分の世界への入ってしまっている彼を呼ぶ。
「ん?
......あ....いや何でもないんだ!
ハハッ!気にしないでくれ。なぁ、嬢ちゃん?」
その声に、ハッと我に返る彼。
今になってようやく自分が呟きを言葉に出していたことに気が付いたジェイドが誤魔化すように笑って流す。
―――。
だが、その笑みの裏には明らかな動揺があった。
「.........この指輪が何なのか、それを知ってるんですね?」
シエラは、明らかな動揺を見せる彼へ問う。
此処は引き下がれない。
引き下がれば本当の自分への手掛かりが確実に遠退くと感じたシエラは、誤魔化し流そうとする彼を止めた。
「─────じゃあ嬢ちゃんこそ、この指輪が何か知ってるのかい?」
だが問い掛けたはずのシエラに返されたのは答えではなく、問い掛けだった。
「.....詳しくは知りません。
でも彼等に、ロアル達に言われました。
これは"水竜の指輪"というものだと―――魔族の亡くなられた姫の持っていた指輪なのだと」
手の平で消えそうなくらい儚い輝きを放つ指輪。
やはり綺麗だ、と彼女は思った。
その指輪を見つめ彼女は言った。
「そうか、一応は知ってるって訳か。
......って、まさか嬢ちゃん。
まさかと思うがその指輪、使えたりはしねぇよな?」
――――。
指輪。そして彼女。
二つを見比べるように交互に視線を移す。
「?」
指輪を使う?
その表現の意味が理解出来ない彼女の頭上に疑問符が浮かんだ。
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