mirage of story
「ったく.....カイムの奴、そんなに寝起きが悪かったのかい?」
ジェイドは、そんな二人を茶化すように言葉を掛ける。
勿論さっきまでの哀しい自分を嘲るような笑みは、すっかりと消していた。
「そ、そういうわけじゃないです!
..........あの、それより私達、ジェイドさんに聞きたいことが」
「何で逃げるって質問なら受け付け無いぜ?
何せ今は時間が無いんでね」
聞きたいことというのを、彼は見透かして言われるより先に答えた。
「いや、だって....俺達には逃げる理由なんて」
そんな対応にカイムも割って入る。
「だから、今は時間が無いってのが聞こえないかい?」
わざとらしい溜め息をついてジェイドは自分の方を向く二人の姿を見た。
「─────別にお前らが逃げたくなけりゃ、逃げなくていい。
.....だけどそうするてお前達、死ぬぞ?」
ジェイドの顔は、ヘラッとした笑みが張り付いている。
だが、そんな中で目だけは本気だった。
「.......」
そんな言葉と、怖いほどに真剣な瞳にシエラとカイムの口からそれ以上の言葉は零れなかった。
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