mirage of story
 


 
 
 



「────ハハッ。
そんな反応出来るんなら、まだ頑張れるな?

..........もう少しで郊外に出る。そしたらすぐにフードを深く被って顔を隠しとけ」




見事なまでに息が合った二人の答えにジェイドは軽く笑った。
そしてそのままの顔で、声だけ真面目に言葉を重ねた。






「顔を隠すんですか?
でも、何でそんなこと────」



「人混みを抜けたっ!
今だ、被れ!深く顔が完全に隠れるようにだ!」




シエラが疑問の言葉を口をにしようと口を開くが、途中でジェイドの声で遮られる。

間髪容れない程の勢いに、二人は言われるがままフードを深くまで被る。






「よし、それでいい」



二人がフードを深く被ったのを見て、ジェイド自身もフードの奥深くに顔を隠す。

そしてその下から、もう一度カイムとシエラを見ると再び前へと意識を戻した。










─────タッタッタッ。



誰も居ない街の郊外を走る三人の足音だけが、もうすっかり暗くなった空にやけに大きく響き渡る。

さっきとは打って変わって、不気味な程に閑な空間。
その不気味さと、空の暗さが絶妙に協調し合って何だか嫌な汗が額を伝う。




――――。
だが、そんな中でも走る三人の足は緩まらない。
閑過ぎる郊外を、街の出口へ向け駆け抜ける。





 

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