mirage of story



 
 
 
 
 
相手を欺く笑みを浮かべるジェイド。
それに対して、ライルはフッと嘲笑うような笑いを溢す。










「反逆者の魔族と逃亡者の人間。

.......さて、それの善良な一般市民と言える?
なぁ、ジェイド?』




反逆者。
逃亡者。
その言葉がライルの口から出る。

その時点で、ジェイドは確信した。










(.........もう全部知ってやがるのか)




そう。
ライルはもう知っている。

今此処に居る三人の正体を、もう知っている。
それを知った上で彼は、彼の率いるこの不穏な者達は彼等が背負う"任務"を果たすために此処に居る。








(キトラか......)



恐らく宿屋で再会した、彼がライルに伝えたのだろう。

彼は、あぁ見えてももう立派な軍人だ。
ジェイドは心の中で苦笑した。









「...........そこまでバレてちゃ白ばっくれられないねぇ。

さすがは隊長さん、いやー仕事が早いね。ハハッ!」




白を切る必要がなくなった。
そう確信したジェイドは、一つ溜め息をつくとフッと諦めたように笑うと、無造作に自分の顔を隠しているフードに手を掛ける。







「ジェイドさん!?」



その予想外の行動に焦る二人の声。






「大丈夫だ。
でもまだお前達は被っとけ」



その焦りの言葉を発する二人とは対称的に、ジェイドは冷静に短い答えを返す。







スッ。
ジェイドが手を掛けたフード。
それが、一瞬の躊躇いもなく取り去られる。


もうこれ以上、顔を隠す意味はない。
そのせいか、やけにあっさりと取り去られたフードの下で長い銀髪が流れるように揺れる。






.
< 543 / 1,238 >

この作品をシェア

pagetop