mirage of story
 




 
 
――――。 
月明かりにジェイドの銀色の髪が煌めいて辺りを彩った。







「ジェイドさん........今あの男のこと、隊長って――――」



露にあったジェイドの姿。
そして、今の状況に戸惑いを隠せない二人。


宿敵であり天敵は現れる。
そしてこの事態を知ってか知らずか自分達を此処まで連れ出した張本人は、初め正体を隠したかと思えばあっさりと明かしてしまう。

しかも今味方であるはずのその彼が、宿敵であるライルのことを聞き間違ったのでなければ"隊長"と違和感のある呼び方をする。



.......。

色々と衝撃的なことがありすぎて暫く思考が止まっていた二人だったが、再び動き始めた頭が自覚するより先に口を動かしていた。













「.....あぁ、確かに呼んだね」



ジェイドは戸惑いの色を隠せない二人を軽く振り返り見た。







「あ、でも勘違いはしないでくれよ、嬢ちゃん?

......昔の話だ、今じゃない。
今は俺等にとっての敵の大将さんさ、こいつは」


「昔?」




付け足すように言葉を続けるジェイドに、シエラも問いを重ねる。










「───本当、嬢ちゃんは質問が多いねぇ?」



フゥ。
ジェイドは、一瞬呆れたような笑みを溢す。







「今は全部説明してる暇はなさそうだが.....これだけは。

昔って言っても数ヶ月前だな、俺はこのライルの元に就いていた。
そうさ、軍人だったんだ。
無論、魔族のな」





 
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