mirage of story
 
 
 





 
「ジェイドさん......」




ハハッと自嘲的な笑いを溢し、本当の感情を隠すような口調に何だかジェイドが哀れに思えた。

呟くように発せられた彼の名が虚空に響き、そして消える。












「────さぁて、俺としたことが少々話が過ぎたようだ。
俺の下らねぇ話はこれで終わりにしとこう。

ハハッ!
まずは、だ。この今の状況をどうにかしねぇとなぁ」





そんな彼は自らが作り出してしまった何とも言えない寂れた空気に気が付き、笑みを浮かべたまま話を元の本題へと戻した。

彼の言葉。
その間シエラ達だけでなくて敵であるライル達さえも何も言えずに黙り込んでしまったのは、それ程までにジェイドというこの男の醸す雰囲気が悲しく切ないものであったからだろう。


――――。
だが場を切り替える彼の言葉。

それにハッと現実に引き戻されたように、黙って話を聞いていたライルも気持ちを入れ替え大きく息を吐き口を開く。













「......例えお前にどんな理由があろうとも、お前はもう反逆者。
見逃すことは出来ない」


ライルの言葉が、夜の闇に冷たく響く。









「それに、お前の後ろに居る奴らも見逃すわけにはいかない。

いい加減そうしているのは止めたらどうだ?
もう正体は判っている以上無駄なことだ、指輪を持つ者よ?」




空を裂く冷たいその声は、次はジェイドを通り越してその先に居るシエラとカイムに向けられ放たれる。








「────.....」



向けられた冷たく、憎しみの籠もったその視線はジェイドの背によって隔てられている彼女の元にもはっきりと届く。







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