mirage of story
「次は、誰が来ますか?」
挑発にも取れるこの言葉。
だが無感情に投げ掛けるその声と冷ややかな紅の瞳は、兵達に戦意より大きな動揺と恐怖を与える。
「こいつ....強いぞ」
兵の一人が、言葉を漏らした。
ッ。
その言葉を合図にするように、周りの兵達は剣を構える。
「.....だが、だがしかし!俺たちがこんな人間の子供に負けるわけにはいかんのだ!
魔族の名に賭けても!
人間という極悪非道の存在に屈するなど、在ってはならんのだ!」
そう叫ぶ。
同時に数人がゆっくりとこちらに歩み寄るカイムへと斬り掛かった。
物凄い瞬発力。
さすがは先鋭された魔族のその部隊の軍人である。
「..........残念ながらこっちにも、負けられない事情があります」
ザンッ。
だが、彼は動じない。
彼は自らへと迫り来る剣を言葉と同時に凪ぎ払う。
.......。
その風圧で砂埃が宙を舞う。
舞い上がる砂埃。
その中に負けられない戦いが―――魔族は魔族の人間は人間のプライドと想いを賭けた戦いが在った。
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