mirage of story
〜5〜
 
 





 
舞い上がる砂埃が視界を遮る。

ッ。
そんな中、カイムは動きで生じる風で相手の動きを見切る。





─────。
ザンッ!

砂埃の中で突然に振り下ろされる剣がカイムを襲う。


だがその剣を彼はいとも簡単に受け止めて辺りに乾いた金属音が響く。







「ッ!」



受け止めるその剣を彼は空かさず受け流し攻撃へと体勢を切り替えると、そのまま今度は相手に斬り掛かった。

ほんの一瞬で彼の立場は守勢から攻勢に変わる。


――――。
彼が斬り掛かった直後に響くのは、肉を掠めたような鈍い音。
手応えは薄いが確かにあった。


だがそれでもカイムに受け流された剣は再び彼へと斬り掛かる。

それをまた、カイムは受け流す。
だが、相手は兵士。
そう簡単にはやられてはくれないらしい。




カンッ。
ギイィンッ!

剣を受けては斬りの繰り返し。
砂埃で前も見えない視界の中、決死の攻防が続く。













(.....砂埃が邪魔だな)



立ちこめる砂埃。
敵の姿の見えないこの状況に苛立ちを覚える。







(どうにか出来ないのか?

こんな状況じゃ、シエラの様子だって分かんないじゃないか。
しかも敵は複数。
何処から攻撃が来るか分からないのは、正直辛い)




そう。
相手は一人じゃない。

状況的には明らかに劣勢。
このまま戦闘が続けばどんどん立場は悪くなるのは目に見えている。






 
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