mirage of story
 
 
 
 
 
 
解決策を見出だそうと、頭の中で色々と探り始める。
だがなかなか出てこない。





ザンッ!

その間にも止まらない攻防。

相手も本気。
自分も本気。
ぶつかり合う力に、体力だけが消費されていく。






(どうすれば....)




―――ビュンッ!








「なっ!」




頭の中で勝算を導こうと全速力で頭の全てを活用させる。


―――――。
そんな彼は不覚にも頭の中で考えることに気を向けてほんの一瞬だけ周りへの注意を怠る。


その一瞬。
そのたった一瞬が、勝利の神を彼から遠ざけた。





────ジュッ....。

嫌な音と共に、皮膚が焼ける嫌な匂いが辺りを包む。








「─────ガハッ!」



カイムの元に、衝撃から少し遅れて激痛が走る。

状況が掴めないカイムは、状況を確認すべく痛みが走る中心に目をやる。






(!)



痛みを帯びる身体。
そこには、炎を纏った短剣が深々と突き刺さっていた。

短剣の纏う炎は流れ出る彼の血に濡れても尚、消えることなく燃える。
カイムの皮膚を破り、肉を貫く炎の刃は残酷な程に彼の力を奪う。



ッ。
一瞬の過ちで受けた傷に失われゆく体力。

カイムはそのまま地面へと膝を突く。







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