mirage of story
『お主が我と契約し、お主の名の元に我が力を行使する。我はお主に従い、我の力を使う。
そしてお主は、我の宿る指輪をお主の信頼出来る者に語り継ぎ、我の力は後世まで平和のために行使される。
我等竜の力は強大だ。故に使い方を間違えれば、世界の危機となる。あの時のように。
悪しき心を持った者に我の力が渉らぬためにも、我と契約してはくれまいか?』
「......そのような大役が、私などに務まるのか?」
『大丈夫だ。お主の瞳にその輝きが宿っているその限りはな。
それに、お主の中に在る平和への意志は.....そう簡単に変わるようなものではなかろう?』
水竜が再びフッと笑う。
そうだろう?と言わんばかりの笑みを見せる。
「――――そういうことであるならば構わない。
.....契約しよう、水竜よ」
その人が笑った。
その笑みは水竜の笑みと重なって、二つの間に何か大きな決意に似たものが生まれた。
フッと笑う一人と一匹の瞳には、同じ色の煌々とした光が宿っていた。
『では、契約成立だ』
―――パアァァッ。
瞬間。光が空間を迸った。
ハラハラと光の粒子が宙を舞い、水竜とその人をフワリッと包み込む。
『まずお主が我の契約者としてやらねばならぬことは、我の同胞―――我と同じようにその身を指輪に封じた炎竜を捜し、お主の手元へと納めることだ。
さすれば、我等竜の力が悪しき者の手に渉ることがなくなる。
今この世界に存在するのは、我と炎竜だけであるからな』