mirage of story






音の根源、つまりシエラは気まずいような返事をした。

カイムはあえて目を逸らしているので気付いてはいないが、彼女の頬は熟れた林檎のように真っ赤だった。





「さ、さぁ、行こう!」



気まずいその感じを空気から察したか、カイムはシエラに視線を合わせぬまま彼女の手をパッと取り、歩を早める。



繋がれた手。

その手に、流れる気まずい空気を振り払うように歩くカイムの後ろをついていくシエラの顔が、より一層真っ赤になったのは言うまでもない。





 
< 687 / 1,238 >

この作品をシェア

pagetop