mirage of story
〜3〜
セシルという女性は、いつも何処か抜けている。
何というのだろう。
少し惚けているというか、色んなことに関して疎いというか。
とにかく彼女は、今まで会ったことのないタイプの女性だった。
少なくとも、ジェイドという男にとっては。
『本がお好きなのですね』
あれは三年前のことだった。
先代の魔族の王が亡くなって、生きていればルシアスが着くはずだった王座にロアルが着いて暫らく経った頃。
この頃はまだ今のライルが居る先鋭部隊が作られる前で、ジェイドは軍隊の中のちっぽけな部隊の隊員の一人だった。
軍に入ったのは自分の意志ではあったが、そんなに軍隊の兵としての仕事に感心があったわけでもなく、ただ成り行きのようなもので兵士となったジェイド。
元々が仕事に真面目に取り組むような達でもなくて、この頃はよく仕事という名目でこのメリエルという街にサボりに来ていた。
「あぁ......仕事なんて怠いな」
よく柄じゃないと言われるが、意外にも本を読むことが好きだったジェイド。
そんな彼はいつものように調べ物があると言って城を抜け出し、隊服のままメリエルの中央にある図書館の閲覧室の机の上でダラッと本を片手にうなだれていた。
セシルという女性は、いつも何処か抜けている。
何というのだろう。
少し惚けているというか、色んなことに関して疎いというか。
とにかく彼女は、今まで会ったことのないタイプの女性だった。
少なくとも、ジェイドという男にとっては。
『本がお好きなのですね』
あれは三年前のことだった。
先代の魔族の王が亡くなって、生きていればルシアスが着くはずだった王座にロアルが着いて暫らく経った頃。
この頃はまだ今のライルが居る先鋭部隊が作られる前で、ジェイドは軍隊の中のちっぽけな部隊の隊員の一人だった。
軍に入ったのは自分の意志ではあったが、そんなに軍隊の兵としての仕事に感心があったわけでもなく、ただ成り行きのようなもので兵士となったジェイド。
元々が仕事に真面目に取り組むような達でもなくて、この頃はよく仕事という名目でこのメリエルという街にサボりに来ていた。
「あぁ......仕事なんて怠いな」
よく柄じゃないと言われるが、意外にも本を読むことが好きだったジェイド。
そんな彼はいつものように調べ物があると言って城を抜け出し、隊服のままメリエルの中央にある図書館の閲覧室の机の上でダラッと本を片手にうなだれていた。