mirage of story
ダラッとする彼からは、やる気のなく気怠いオーラが溢れ出していて机の上にベッタリとうなだれる彼は、今にも机に溶け込んでしまいそうな程。
そんなオーラを満々に出す彼に、閲覧室に居た他の人達は気味悪さを感じみんな出ていってしまった。
なので、今この閲覧室にはジェイド一人。
ジェイドとしては静かに本に読み耽ることが出来るし、またサボっている身なのであまり人目につきたくないこともあり、逆に好都合だった。
そんな時だった。
彼女が、セシルがそうジェイドに声を掛けたのは。
「なっ.....」
自分以外、誰も居ないと思っていたこの部屋にまだ残っていた人が居た。
それに気が付いていなかったジェイドは、唐突に掛けられたその声に言葉を詰まらせた。
これでもジェイドは一介の兵士。
まぁ、今はサボり途中ではあったけれども。
だから普通の人よりは気配には敏感なはずで、人の気配があればすぐに分かるはずなのだが。
「あ....あんた、いつから此処に?」
そのはずなのに、ジェイドは全く彼女に気が付かなかった。
「.....?私は、さっきからずっと此処に居りました。
此処の二階で本を読んでいたのですが、貴方が入ってくるのを見て下りてきたのです」
自分を見て驚くジェイド。
そんなジェイドを見て、セシルは不思議そうに首を傾げた。