mirage of story
面には決して見せないが、ジェイドという男は孤独だった。
普段は女と遊んだり、仕事をサボったりといい加減で常にヘラヘラと笑い自分を軽く見せていた。
だが、本質は違う。
ジェイドの本質は、人一倍に孤独で常に誰かを求めていた。
自分の孤独を埋め尽くしてくれるような、辛いことを全て忘れさせてくれるような人を常に求めていた。
それが例え、一時の気休めにしかならないと分かっていても。
彼は求めずにはいられなかった。
でも何処かに人を信じきれない自分が居て、ジェイドは人を好きになるという一線を越えれないでいた。
「あ....あぁ、本当に大丈夫さ」
なのに、何故だろうか。
この感情はいつもとは違う。
彼女を知りたい。彼女の全てを知りたい。
そんな感情が、セシルを前にどうしても止められなかった。
自分でもどうしてこんな感情が沸き上がってくるのか不思議で仕方なかったが、心はもう既にその事実を受け入れていた。
彼女が、好きだ。
心は叫んでいた。
セシルと初めて出会ったあの日。
あの日からジェイドは、彼女に会うために毎日のようにこのメリエルの街へと通った。
仕事や訓練の合間を縫って、そして時々サボって。