mirage of story








「...........セシル。あんたに何も言わずに姿を消したことは、悪いと思ってるさ。

あーっ!だからそんな目で俺を見るなって。
悪かった!俺が....悪かった」




いつもの調子で軽く誤魔化してしまおうかとも思った。

だが、彼女の汚れない澄んだ綺麗な瞳に自分の姿が映っているのを見ると、どうしてもそれが出来なくて。
ジェイドはスッと少し視線を下へと逸らした。







「........あんたを巻き込みたくはなかった。

反逆者になっちまった俺と親しくしてたってことがバレりゃ、すぐに此処にも手が回る。
何にも知らなけりゃ、あんたに手は及ばないだろう。

.....あいつは――――ライルは余程のことがなけりゃ、一般市民に危害を加えねぇからな」






「―――――ライルというのは......青い瞳をした男の人のことですか?」




「あぁ、そいつだ。
ライルは俺が抜ける前に居た先鋭部隊の隊長さんで、俺の昔からの幼なじみさ。

俺が抜けて、その後始末するのは部隊の隊長のアイツだからな」





脳裏に過る幼なじみの元戦友の姿に、ジェイドはフッと笑いを溢した。

今は自分の命を狙う天敵であるというのに、思い出される感情は共に過ごした日々の楽しさや、共に味わった悲しみ。
まだライルを敵だと思い切れていない自分が居て、ジェイドはそんな自分に笑いが溢れた。






 
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