mirage of story
無二の親友だった。
でもそれは、あの五年前の戦争からゆっくり....でも確実に崩れ始めていたんだ。
「五年前.....ルシアス姫さんが死んで、アイツは変わっちまったんだ。
....いや、アイツだけじゃない。
俺も、変わっちまったのさ」
「......どうしてなのですか?」
ジェイドの顔には、笑みが浮かんだままだった。
だけどその声が何だか堪らなく哀しくて、セシルは少しだけジェイドを見つめていた視線を逸らしてからまた彼を見つめて静かに聞いた。
「ルシアス姫さんの存在ってのは、アイツにとっても俺にとっても大切なものだったんだ。
それを俺たちはいつの間にか失っちまっていて、それでいつの間にか変えられたんだよ。俺達の心も。
人間がルシアス姫さんを殺した。
その事実が俺達を戦いへ狂わせたのさ」
「........」
「最初はな、アイツも俺もルシアス姫さんが死んだなんて信じなかった。
信じられなくて、ルシアス姫さんがまだ生きている確証を二人して血眼になって捜したさ。
だがついにその確証は見付けられなくて、俺達は絶望した。
俺は諦めてたまたま募集がかかっていた軍の要員に転がり込んで兵になった。
アイツはそれでも諦め切れないみてぇで、俺が軍に入ってからも暫らく一人で世界中回ってルシアス姫さんの行方を捜していたらしい。
でも暫らくしてアイツもようやく諦めがついたみてぇで、国へ戻ってきて俺と同じように軍に入った。
まぁ、アイツは先鋭部隊の隊長に抜擢されて、俺はその部隊の一兵として召集されたから境遇は全く違ったがな」