mirage of story
「そう。
あの剣の力、きっとこれから役に立っていくと思うし。
だけどあれが何なのか分からないままに使うのは、リスクが高い。
それどころか肝心な所で力が発揮出来ないんじゃ、その力に頼っている分だけ逆に戦いの妨げになるだけだよ。
神術って言葉も聞いたこともないし、ジェイドさんも知らないって言ってたし。
それにどうして、シエラの母さんがそんな力を使えたかも気になる。
あの剣のことが分かれば、色んなことに繋がっていくと思うんだ」
「.......そう思って私もあの図書館の本で一応調べてみたんだけど、全然それらしいことが載っていなかったの。
まだ全部を探したわけじゃないから、何処かに載っているかもしれない」
カイムの言葉に、シエラは少しだけ目を伏せる。
同時に店の入り口から入る外からの光が、雲で隠れたのか数秒消えた。
そのせいか、シエラの表情がより一層曇ったように見えた。
「そうか.....じゃあ、また戻ったら探してみないとな。
俺も手伝うよ」
「ありがとう、カイム。
......でもさ、私思うの。
だってあれだけ色々知ってるジェイドさんだって、全く知らない聞いたことないっていうのよ。
もしかしたら、もしかしたらだよ?神術っていう私の母さんがそう言ってた力は、この世界に存在しない力なんじゃないかなって。
だって、そんな力があったら人間でも魔族でも誰かが知ってたり何かの記録に残っているはずだもの」