mirage of story
誰かを守るような、包み込むような。身体で感じる感覚が、とてつもなく二つよく似ていた。
例えその二つが違うものだとしても、それはとても近い力である。
そんな妙なくらいな自信から来る確信が、シエラにはあった。
「そうか.....聖術と、か。
確かに似てるかもしれないな。可能性はあるかもしれない!
神術っていう不確かなものを探すよりも、聖術っていう確かに存在するものを探した方が効率もいい。
戻ってその線で探してみよう!」
バンッ。
カイムはシエラの言葉に希望を見つけたのか目を輝かせた。
勢い余って、机に手を突き立ち上がる。
大きな音がしてシエラはビクッと身体を震わせて、店の中に居た彼等以外の二三人のお客が一斉にカイムを振り返る。
その視線に気が付き、カイムはハッとして少しだけ気まずそうに眉を潜めた。
「ご....ごめんなさい」
自分へと向く視線に、カイムは申し訳なさそうに謝った。
その声に、カイムの方へと向けられた興味はそれぞれの方向へと散り、カイムはホッと息を落とす。
そして肩を竦めて、勢いよく立ち上がった椅子へと再び腰を掛けた。
「ごめん.....そんなに急がなくてもいいよな」
「うん。せっかくだしもう少しゆっくりしていこう?
私もカイムと、ゆっくり話したいしさ」