mirage of story






出来れば起こって欲しくはないが、カイムが父と再会を果たすことがあれば.....おそらく避けては通れない道。
少しずつではあるが、その可能性に日々確信を得てきた。



その可能性が現実になった時のために、カイムは言っておかなければならなかった。その時が来るのを願ってくれる彼女に。

その時が来て、彼女は迷うことのないように。
その迷いが、彼女の危険になることのないように。








「.......でもそれは親としてじゃない。
これから先で俺が父さんと会う可能性があるとしたら親子としての再会じゃなくて、魔族と人間―――敵としての再会なんだと思う。

敵として俺達の前に立ちはだかるのが、俺の父さんだって可能性も十分なくらいにあるんだよ」



「っ!」





再会に伴うのは、感動ばかりとは限らない。
それが失望であったり、絶望であったりもする。


ついこの前に果たされた一人の青年と、その青年を心から慕う一人の少年との再会がそうであったように。




知っておいてもらわなければならない。
シエラにもこのことを。








「でも分かっておいてほしい。
たとえそんなことになったとしても、俺は絶対にシエラの味方だから。相手が誰だろうと関係ない。

絶対に迷ったりしないで。俺に構わず、敵として戦って欲しい」 






 
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