mirage of story
"此処に書かれる全ては真実である。この世界の歩んできた軌跡である。
この世界の歴史を、我等が犯した過ちを忘れぬよう。
我等はその歴史を語り継がねばならない。
でなければ、また再び世界は崩壊に向かうであろう。
そしてまたその道に導くのは他でもない、愚かな人である。
そのことを防ぐため、そして我等人に託された竜達の想いに報いるため、我はこの書を記す"
いや、虚偽の世界なんかではない。
水竜。炎竜。
そして封じられた一匹の竜。
そして古の時代の世界の崩壊の危機。
空想だと偽りだと思われたそれは、全て真実。
人の誰もが忘れてしまった、知り得ぬはずの真実だった。
どうしてその知り得ぬはずの真実を、王はこの書に綴ったのか。
空想だと妄想だと云われたその真実を、王はどうして綴り得たのか。
"我等の犯した罪の報いは、今は来ずともいづれ必ず訪れる。
そのいつか来る時のため、後世までこの世界が刻んだ歴史をこの書を記し続けよ。
そして我等の犯した愚かな罪を戒め続けよ。
竜達が人に託しし願いを果たせ。世界を平和の光で満たせ。
されば、たとえ再び崩壊の闇がいつか訪れようとも――――その光が闇を葬り去るだろう"