mirage of story
(今考えるべきは彼等をジス殿の元へお連れすること。
だがその前に、あのジェイドという男だ。
あの男はどうも気に掛かる)
未だ穏やかな寝息を立てて眠るシエラとカイム。
そんな彼等の上をロキの感情の籠もらない視線が通り越し、布越しの向こう側に居るはずのもう一人の男の姿を想像した。
男にしては、やたらと長い銀髪。
何かを欺くような紅の瞳は、常にヘラッと歪んで顔には軽々しく思わせるような笑みが浮かんでいる。
そんな彼をただ想像するだけで、ロキは神経を逆撫でされたような気分になる。
感情の乏しいロキだが、どうしてもジェイドを見ると苛々とした不愉快な気分になるのだ。
理由は分からないが、何処からか沸々とそんな気分が込み上げてくる。
多分ジェイドとは、根本的に合わないのだろう。
何に関しても滅多にこんな感情を抱かないロキが、こんなにもそんな思いになるのだから相当だ。
人として真逆のようですらあるジェイドは、出会ってからまだ間もない浅い関係であるのに、ロキにとって何かとてつもなく癇に障る存在だった。
(あの男.....何を考えているかが分からない。腹が読めない。
彼等のことを仲間などと口裏を合わせ然も自分がその括りの中に居るようなことを言っていたが、実際はそのようなこと微塵も思ってはいない。
仲間などという括りは意味を為さないと、所詮上辺だけの戯れだとあの男は心の奥底で思っている)