mirage of story
光に照らされ陰になり顔は見えなかったが、ジェイドは苦笑いしているのだとシエラには何となくだが分かった。
「起きろー、カイム」
ジェイドはフゥッと分かりやすい溜め息を一つついて、それからまだ寝ているカイムの所までずんずん歩いて起こそうと耳元で言う。
何度か呼ぶが、なかなか起きる様子を見せない彼に、ジェイドはシエラと顔を見合わせた。
「うん.....ん。
あ......ジェイドさん!?お、おはようございます!」
「やっと起きたか」
重そうに目蓋を持ち上げて、外からテントの中に差し込む光に眩み目を細めるカイム。
暫らくして目が慣れて、それからすぐ傍に居たジェイドと目が合い、バッと飛び上がり挨拶をした。
「それじゃまぁ.....全員起きたところで、嬢ちゃん達さっさと準備しろ?
あ、もちろんあんたも――――って、あんたはもう万全だな」
ハッとして飛び上がるカイムにジェイドがまたフッと笑い、カイムとシエラそれからテントの端で無言を守っていたロキへと順に視線を移した。
カイムもシエラも、その言葉に促され身仕度をし始める。
一方ロキはというといつ準備を整えたのやら、もう既にいつでも出発出来るといった状態でスッとジェイドを方を向いただけ。
そんなロキにジェイドはハハッと苦笑いを浮かべた。