mirage of story
「さっすが、ロキちゃん。
出来る男!仕事が早いねぇ」
「.........」
言葉を詰まらせたジェイドがハッとしたようにそう茶化すような口調で言う。
それをロキは目も向けずに完全なる無視で、黙々と作業をする。
もう旅の中ではお馴染みとも言えるやり取りで、カイムとシエラはそれを普通と捉えて見た。
「................はぁ、まったくつれないねぇ。
さて、と。
んじゃまぁ、テント張るのはロキちゃんに任せて俺達は晩飯の準備でもしとこうか?」
反応のないロキにジェイドはつまらなそうな顔をして、わざとらしく深く息をついた。
それからさっきよりもまた一段階夜に近付いた空を見上げ、シエラ達に言う。
暮れかかった夕陽の赤がジェイドの瞳に映り、彼の紅の瞳がより一層濃くなって周りの木々の緑の中に映えていた。
そしてその瞳に映る夕陽を、シエラとカイムは揃って見て頷いた。
「よし、決まりだな!
じゃあ俺とカイムは火起こし、嬢ちゃんはどっかで水汲んできてくれ?
場所は俺にゃよく分からんから、ロキちゃんにでも聞きゃ分かるだろうさ」
「は、はい!」
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