mirage of story
「んじゃあ、とりあえず......そういうことで解散!
カイムー、こっち来ーい」
ニカッと笑って、ヒラリと身を翻すジェイド。
そして後ろを向いたまま、片手をヒラヒラさせてカイムを呼ぶ。
「はい!
じゃ、じゃあシエラ。水汲みの方は頼んだよ?」
「うん、任せておいて」
「ロキさんが言うには、此処は限られた者しか入ることが出来ないらしいから大丈夫だと思うけど.......何かあったらすぐに俺を呼ぶんだ。
念のために、剣は肌身放さず持っておくこと。いいね?」
「うん、分かったわ」
そう言うとカイムはジェイドの背を追う。
シエラは頷き、夕陽で逆光に黒く塗りつぶされたカイムの後ろ姿を笑顔で送り出す。
さて、と。
シエラも仕事に取り掛かろうと、水を汲むための布袋と金属で出来たバケツみたいな入れ物を手に取る。
「あ!シエラ!」
そんなシエラを止める、再びのカイムの声。
何か言い忘れたことがあったのだろうか。
光の加減で顔は見えなかったが、身体を半分捻ってこちらを振り返っているのが分かった。
何だろう?
そう思い、カイムを見る。
「あとあんまり無闇に奥には行かないこと。
ほら、シエラはその――――人より少し迷いやすい体質みたいだから」
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